2006年09月24日

猫縁応酬A

〔矢子と二健の交換日記の記録〕
2006年07月01日〜14日
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2006年07月01日
10:57
yaco

二健様、おはようございます。

此処の空間の時間は、二健様が、訪れたとき、と
矢子が訪れたとき、のみ、動きます。現実という
架空の時間に、惑わされませんように。

矢子は、唯今。虫籠のなかに、膝を抱えて
座っております。 背を、凭れ掛けながら。
二健様には、ご迷惑をお掛けしませんので
ゆるゆる、と、ご浮遊なさって下さい。

「庭で咲くのは手毬花、てんてん手毬七色手毬」
何処か、とても、懐かしい情景です。
大変、気に入りましたので、拝借させて頂きます。

遠くも近くもない、昔のことです。
夏の耳が、春のしっぽに、重なって居た、頃。
矢子は、お庭の、手毬花のちいさな木蔭に
お顔を隠して、うとうと、しておりました。
もこもこした、雲のようなお花が、舞い降り
誘われるままに、手毬花の世界に
沈んでいきました。その、ふわふわとした
お花のなかで、揺られておりますと
憂い帯びた、美しいうたが、お花の世界を
包んでいきました。
「てんてん手毬七色手毬…」

きょう。矢子の住む町に、虹が、架かりました。
矢子は、手毬花の世界の、記憶を辿りながら
二健様の手毬唄で、優しく、静かに、戯れてみました。
笙のような、柔らかい、光を帯びた和音を、感じながら。
「てんてん手毬虹色手毬…」

すべて、空っぽの、虫籠のなかの、出来事です。


二健様は、天狗様の化身と、お見受けしました。
高尾山の天狗様と、ご交流されたり、するのですか?

矢子

2006年07月02日
06:41
Jiken

矢子様、おはようございます。
鴉が鳴いております。
もう7月ですね。
降るともなく降っていた
天気雨の昨日でした。

誰も訪れることのなかったボロ猫屋敷。
足跡日記で‘なっちゃん’という方が
初めてここに目に留めて下さいました。
曰く
>「ボロ猫が行く」に惹かれてやってきました。
素敵。また良い写真を撮ってください。(06.5.6朝)
〜と、励ましのお言葉に感謝感激。

矢子様は、お二人目のボロ猫のお友だちです。
ボロ猫様は、どこかあの辺りで
よろよろと生き延びて、
このことを喜んでおられると思います。

矢子様の居場所は、
空の金魚鉢の中から虫籠へ。
寄居虫のような矢子様。
昨日の朝方、万年床で寝たきり老人となって
TVで蛍の生態の教養番組を見ました。
寄居虫のお宿は巻貝の殻。
片や蛍の幼虫は蜷好き。
お目当ては貝殻じゃなくて、
その美味しそうなお肉。
清流で育った肉で充電をして
光る準備に余念がありません。

今日も日が落ちて
そろそろ浮遊の時
あんな所に虫籠が
でも虫の居ない虫籠
代わりに居るのは膝を抱えた虚ろな乙女
乙女は虫たちを食べ尽くしてしまったのです
乙女は以前
カラの金魚鉢に居たので
飼い主の人のカラを被った
遠く瞬く星の魂
ゆっくり点滅する緑色の光
お尻は不規則に発光し続けます
天狗蛍は二倍に光度を増し急接近
あいやー
行く手を阻む鉄格子

濡れて揺られてかたつむり
小さな小さなかたつむり
てんてん手毬七色手毬
手毬花にはかたつむり

濡れて揺られてかたつむり
小さな小さなかたつむり
てんてん手毬七色手毬
虹の橋行くかたつむり

「空っぽの、虫籠のなか」とその周りです。
天狗七変化の小話でした。
流石「遠くの星の、魂」矢子様。
天狗の尻尾を掴まれました。
天狗は山々に居て終生孤独。
時々里に来てわるさをします。
演説説教教師面大好き。
おだてられると宙にも舞う気持。
その時は本当に舞います。
何が善悪夢現。
天狗の掟に照らします。

天狗になる前に高尾山の鴉系を詣でました。
猿とも遊んできました。躑躅も綺麗でした。
矢子様と同じく、
>遠くも近くもない、昔のことです。

〜二健

2006年07月02日
19:53
yaco

二健様、こんばんは。

蒸し暑い、一日でした。こんな日は
水と、戯れることが、矢子の習慣です。

唯ならぬ、雰囲気に包まれた、猫様のお姿は
二健様の、鋭い、レンズを通して、象られた
偶像のように、感じます。
猫様のお気持ちを、二健様が、お上手に
汲み取られたので、なっちゃん様にも
矢子にも、この、不思議な魅力が
届いたのかな、と、思います。


矢子は、雨からできた、お着物を纏っております。
きのう、空の、お仕立て屋さんから
受け取ったものです。七色織りです。
一見、白く、もわりとしていますが、光があたると
虹のように、しゃぼん玉のように、揺らぎます。

昨夜は、すこし、憂いも晴れましたので
虫籠から、這い出して、川の辺に、出掛けました。
此処は、高尾山に源流のある、清らかな、せせらぎです。
束ねた、黒髪を解いて、水浴びをしました。
朧月が、ゆるる、ゆるる、と、昇っていきました。

お月様の、うたに導かれて、飛んでおりますと
広い草原に、落ちました。
濡れた、黒髪を梳かして、束ねました。
露草が、るるる、るるる、と、囁いて居ます。

草の靡く方向へ、歩いていきますと
其処は、深い、森林でした。
束ねた、黒髪を再び、解いて、撫でてみました。
紫陽花が、きらら、きらら、と、咲き溢れました。

☆                    ☆
     ☆            ☆
         ☆

紫陽花に戯れる、蝸牛に誘われて
ながい、黒髪の矢子は、今夜も、夢遊します。
雨粒が、ぱらら、ぱらら、と、矢子の、お着物に
宝石を、散りばめていきます。

簾のような、雨の、向こう側を、二健様が
虫籠いっぱいの、蛍を抱えて、飛んでいらっしゃいました。
まるで、流星のように。
落ちた処を目指して、矢子は、歩きつづけます。

濡れて揺られてかたつむり
小さな小さなかたつむり
てんてん手毬七色手毬
手毬花にはかたつむり

濡れて揺られてかたつむり
小さな小さなかたつむり
てんてん手毬七色手毬
虹の橋行くかたつむり

何処かで覚えた、手毬唄を、口ずさみながら。

二健様の、しっぽに掴まって、流星に
なってみたい、と、思いました。

矢子

2006年07月03日
19:45
Jiken

矢子様、こんばんわ。

夜明け前の半開きの窓から
小さな地味な蛾が飛び込んで来ました。
蛾は私の目の前を何度も飛び回り、
銀粉をふりまきました。
視界が霞んだので目を強く瞑って、
目頭を指の腹で押さえ付けました。
そして目をゆっくり開けると、まだ霞のままでした。
幸い霞は徐々に晴れてきました。
そうしましたら何と、
矢子さまが沐浴しているじゃありませんか。
森の水辺の黒髪の乙女は、矢子様に違いありません。
矢子様と七色織りのお着物に、
木漏れ日が射して揺れています。
あまりにも眩い景色だったので、
撮影しようとしたのですが、
手元にいつものカメラがありません。
残念に思いましたが、そう、それでよかったのです。
今ここに居て、この景を覗いていられることに
不足はありませんでした。
名乗り出たり、写真を撮ったりしたらいけません。
矢子様をそっと見守っていてこそ、
今があるのだと思いました。
いや、そう足元の露草がこっそり教えてくれました。

妖精の解く黒髪に魅せられて  ⋰
紛れ込みしは紫陽花の毬   ⋰
             ⋰ 
           /⋰
        ☆彡 ⋰

天狗の尻尾は悪魔の尻尾、
それでよかったらお掴まりなさい。

〜二健

2006年07月04日
20:18
yaco

二健様、こんばんは。

夕立が去り、涼しい風が、矢子の部屋に、流れ込み
風鈴の音が、矢子の黒髪と、戯れます。

あのとき、カメラを、お持ちでなかったのも
きっと、偶然では、ございません。二健様は
瞬きをされた、数だけ、矢子の姿を、映されました。
二健様の、心のなかで、自由に変化する
美しい記憶として、お留め下さいませ。

水が、とても、心地いいので、きょうも矢子は
川の、せせらぎに、撫でられながら
お魚たちと、戯れておりました。すると
水面を、しゅるり、横切る、光があります。
そろり、窺いますと、毬のような、紫陽花の東側から
二健様のしっぽが、垂れ下がっておりました。
みつけたわ!
矢子は、忍び足で近寄り、そっと
握らせて頂きました。その、瞬間。
二健様は、空中へ、ひゅるり、飛び立たれたのです。
矢子には、握力が、ございません。
手のなかの、しっぽは、するり、抜けました。
矢子は、紫陽花の、毬のなかへ、落ちていきます。
銀色の、ちいさな蛾のように。
矢子を閉じ込めると、紫陽花の毬は
ころり、ころり、水のなか。
お魚たちが、矢子を包んだ、毬を囲んで
ゆらり、ゆらり、踊ります。
矢子の手毬唄と、調和して。

トップの、お写真、拝見しました。
どくどく、と、迫る、お顔。
やはり、魂は、映しものにも、写されるのですね。

矢子

2006年07月05日
06:34
Jiken

矢子様、おはようございます。
今朝もまた鴉のお喋りが聞こえてきます。

体内カメラを通して、
しかと矢子様の沐浴姿を
脳裏に焼き付けました。
その幻影を甦らせたい時は、
新緑の言の葉に拠りましょう。
その言霊の木漏れ日に
惜しみなく晒しましょう。

矢子様のお体を包む水に誘われて、
つい天狗心の尻尾だけが、
水のご相伴に与かっておりました。
お魚たちは、みんな怪訝な顔つきです。
そして、そのことはすっかり忘れて
矢子様の白い肢体とたなびく黒髪に
魅せられ、虜になっておりました。
気付かれまいと紫陽花の茂りに身を寄せていました。
その毬たちの色香と相俟って、
夢心地でうたた寝をしてしまっていたのでした。
まさか矢子様の指で尻尾を掴まれるとは、
夢にも思いませんでした。
ギャオッと、猫天狗は驚いて
飛び上がったのでした。
そのまま上がり続けて、
見えなくなったとのことです。

下界には毬が転がり紫陽花の
形代泳ぐ銀河の流れ

天と地と合わせ鏡の森の美女
現の夢は夢の現に

矢子様に尻尾を掴まれ本来の
天狗に戻り納まりました

〜二健

2006年07月06日
08:48
yaco

二健様、おはようございます。

透明な、空気のように、磨き上げられた
矢子家の鏡から、浮遊して参りました。

きょう、お話しするのは、きょうがきのうで
きのうがきょう、だったときの、ことです。

烏の濡れ羽のような、レインコートを羽織って
矢子は、甲州街道沿いの、乾物屋さんへ、出掛けました。
乾物屋さんの、並びの、骨董屋さんの前に
きのうの抜け殻が、落ちていました。それは
紫陽花のかたちをした、毬でした。

雨に濡れた毬を、手のひらに
のせると、川のせせらぎが
矢子を、包み込んでいきました。

矢子は、紫陽花の毬のなか。
胎児のように、抱かれて、眠ります。
紫陽花の毬は、川のなか。
流れは、ますます激しく
天と地を、呑み込んでいきました。

矢子は、紫陽花の毬のなか。
胎児のように、抱かれて、眠ります。
紫陽花の毬は、銀河のなか。
星たちの、歌う、遠い記憶が
矢子の、からだに降り注ぎます。

懐郷。浮遊する、銀河団。
帰りましょう。帰りましょう。
お家に、帰りましょう。
でも、矢子は、知っているのです。
もう、あの星の、あのお家は、無いのです。

矢子は、この流れに
身を任せて居よう、と、思いました。
ときが満ちて、紫陽花の毬から
再び、生まれ変わるまで。


きょう、毬が、矢子に教えてくれた、お話です。
矢子は、乾物屋さんで、昆布を
骨董屋さんで、黒漆の、ちいさなお皿を
それぞれ、お買い物し、家路をぶらり、ぶらり
歩きました。紫陽花の毬から、矢子が
生まれるのは、もうすぐなのです。

矢子



2006年07月07日
16:58
Jiken

矢子様、こんにちわ。

矢子様の二つ目のお話に開く扉は、
天狗庵の厠にある錆びた三面鏡です。
入れ違いの昨日と今日は三面鏡に映ります。

天狗庵も甲州街道沿いです。
御宅矢子家よりも東の彼方です。
天狗庵の西の彼方のものがたり。

西の紫陽花手毬唄
東の紫陽花隠れ蓑
西の乙女の昨日には
東の天狗の今日がある
飛び交う矢文矢継ぎ早
紡ぎ合う言の葉さらさら
木漏れ日の漣さらさら
小鳥の囀り
蜂の蜜集め
朝から昼の白昼夢
夜な夜な深夜に奏でる主旋律
知恵も力も使いきり
天狗見事に野垂れ死に
かわたれの一番鳥は喪服の鴉
一喝二喝されたと思う目覚めかな

いよいよW杯も大詰め。
蹴鞠は毬でも、此方は紫陽花の毬ですね。
毬を潤す雨は、せせらぎとも濁流ともなり、
矢子様を身籠った毬を呑み込みます。

矢子様は毬に身を任せ、毬は水に身を任せ、
銀河の果まで揺られます。
眠れる矢子様、瞬き合う星、流れる星、
竹林の囁き、囀る小鳥、
日の照り、虹の太鼓橋、街の喧騒、アジ演説。

矢子様は胎児となって、
明日を懐かしんでおられます。
ありえない懐古の逆方向の座標軸に
安らかに星を産み落とす矢子様です。

矢子様の訪れた乾物屋さんと
骨董屋さんでのお買い物の二品は
今宵のための供物でしょう。
黒髪へのオマージュでしょう。
そしてその二つのお店は、
過去を停める停車場です。
停車場にも紫陽花が
咲き続けています。

どんぶりこ
どんぶりこと七色手毬
流れに委ね
流れに揉まれどんぶりこ
どんぶりこっこ七色手毬
お家忘れて七色手毬
すくって手に取れば
月明かりに透く乙女の眠り
丸めたからだの黒い髪
からだに掛かる黒い髪
どんな瞳の乙女でしょう
どんな瞳の乙女でしょう
睫毛の封印弧を描き
睫毛の先のお月さま
そっとほほえみ星祭

弥勒の矢文七夕竹に吊るしけり  二健

今宵は「星に願いを」を聞いて過ごします。
いいのが見つかったら、天狗庵の離れの掲示板
「サムライブルース」に書き込みたいと思います。
 http://6112.teacup.com/samurai/bbs

〜二健☆彡

2006年07月08日
08:42
yaco

二健様、おはようございます。

二健様の、お詞の世界では
矢子の、つらつら、掘りおこした
つるつる、お芋のような、嘘話も
抑揚ある、旋律に、生まれ変わります。
You are a Haiku Master!
浮遊する、遠くの星の魂を、二健様の迷宮の
居心地のいい、ひと部屋に、通わせて頂き
大変、恐縮しております。

笹の葉さらさら、願いごと
きらきら輝く、宙の星
ひらひら舞い散る、空話
雲が摘取る、星の花
手毬からころ、手毬唄
矢子を宿して、子守唄

 魂が、夢のなかに在る限り
 願いごとは、叶わぬ筈がないのです。
 夢みるひとのように
 星に願いを、託したならば。

(If your heart is in your dream
 No request is too extreme
 When you wish upon a star
 As dreamers do
         When you wish upon a star より)

矢子が、生まれ変わりましたら
天狗庵の、招き猫様のもとへ
お宮参り、いたしましょう。
東西を、伸びたり、縮んだりする
甲州街道の、風に乗って。

朝顔昼顔、夕顔の
蔓はくるくる、左巻き
朝顔染めの、浴衣着て
矢子の時計も、左巻き

矢子

2006年07月08日
16:18
Jiken

矢子様、こんにちわ。

七夕も過ぎ去りました。
矢子様自ら嘘話とは、
身も蓋もないじゃございませぬか。
矢子様は夢見る乙女、然も天然。
ふわりふわりと浮遊されているわりには、
打てば響く感度のよろしさと、想像力のたくましさ。
そして彼の世を綴り描く魔法の指。
仰せの「恐縮」などとは世俗世間のこと、
のびのびふわふわ虚空を漂いましょう。
嘘話から出る真を育みまょう。
空話から出る色を育みまょう。
虚空でのランデブー。

見上げれば
嘘つき放題天の川
嘘の数だけ星流れ
みんなみんな光ってる

見上げれば
嘘つき放題天の川
嘘が嘘呼び星冴えて
みんなみんな光ってる

見上げれば
嘘星ばかり輝いて
本当のことも嘘に見え
みんなみんな光ってる

「嘘星」という即興の唄でした。
矢子様に触発されて普段考えもしないことを
妄想してしまいます。矢子様の魔性伝染恐るべき。
「星に願いを」の歌詞は、初めの一行からして、
矢子様のためにあるように思いました。

矢子様の御到来は、開けてびっくり玉手箱。
機織り天狗の庵を覗きますと、次なる試練。
待っているのは黄泉国の洞穴の雷神や醜女。
矢子様の天国、天狗の地獄、世間様は娑婆。
取りも直さず御縁賜り感謝の念に合掌です。

矢子様の「左巻き」の唄
何故か愛着ある韻律です。

天狗の旋毛も、左巻き…チャンチャン.

〜二健

2006年07月09日
08:06
yaco

二健様、おはようございます。

>天狗の旋毛も、左巻き

旋毛。大変、懐かしい、響きでございます。
矢子は、旋毛、と、斑点、という名の
双子の雄猫と、暮らしておりました。
幾つもの、歳月が過ぎ
遠い記憶と、なってしまいましたが。
何時か、彼らのことも、お話しできたら
と、思います。

「嘘星」
とても、可愛らしい、お詞です。
紫陽花の、毬のなかの、矢子に
優しく、唄ってあげました。

紫陽花の、毬に抱かれて
矢子は、こんな夢をみました。

ねんねんころり、ねんころり
空に、ゆらゆら、紙風船
境界描く、飛行機雲

ねんねんころり、ねんころり
業の数々、ひら、ひらり
浮くも沈むも、毬次第

あなたは、何方ですか。
わたしは、きのうの、貴女です。
では、あしたの、わたしは、何処に。
もう、そこに、いらっしゃいます。

きょうの矢子が、死んだとき
其処で、あしたの矢子が、生まれます。
あしたの矢子は、きょうの矢子に、なりました。
矢子は、また、ひとつ。
お数珠の、玉を数えました*。

(*南国では、仏の名を唱えながら、百八のお数珠の玉を
ひとつひとつ、ずらしながら瞑想する、習慣がありました。)

ねんねんころり、ねんころり
百八煩悩、百八生
現世は来世の、分岐点

ねんねんころり、ねんころり
風神雷神、閻魔様
神なら総て、拝みます

ねんねんころり、ねんころり
風にくるくる、風車
手毬ころころ、何処へいく

矢子


2006年07月09日
19:41
Jiken

矢子様、こんばんわ。

飛び交う矢文が20通目となりました。
こんなことは猫天狗史上初めてでございます。
宙に浮いた空話だからこそですね。
妄想が妄想を呼び、
誇大妄想の巣窟の体でございます。
矢子様がボロ猫様に降臨されたことに端を発します。

  疫病神蚤も負せて流しけり  一茶
  疫病神天狗の背中流しけり  二健

突然俳句話で恐縮ですが、
痒がるボロ猫を疫病神と見立てて、
一茶の句を引き、パロディを詠んでみました。
江戸俳諧への脇道遊山でした。

> 矢子は、旋毛、と、斑点、という名の
> 双子の雄猫と、暮らしておりました。

「ツムジ」と「ハンテン」という猫でしたか。
拙宅には「シロヤン」と「ミータン」という
双子の雌雄猫がおりました。近い記憶です。
薄命で、もの言わぬ猫たちから、
恵みをいっぱい受けました。
猫好きを通して語れることは幸いです。
彼の世の二体の猫仏様は、
おいおい矢子様の記憶を辿って生られることでしょう。

「嘘星」などという出鱈目な言葉に
感動して下さってたじたじです。
矢子様の子守唄、
こちらも、うとうとしてしまいました。
丁度そんな曲聞いてますし。
外は雨、庵はカラッポ。
空調だけが虚しく回っています。
まだ早いので、お酒も手付かずです。
ひたすら妄想、絵空事の虜。
毎日死滅と再生繰り返す鮮度の良い矢子様の影。
影は幻影、夢幻の彼方。

幼き日の思い出に、お葬式の場面があります。
村の観音堂の畳の上で、大人たちが車座になって
大仏の首飾りのようなものを、
膝の上で横に回し合っていました。
何かブツブツ唱えてました。
これが108個の玉を持つ珠数だったと、
大人になってから知りました。
ナンマイダブツナンマイダブツ!

二つ目の子守唄には風車など出てきて、
石仏巡りをした昔日が偲ばれます。

  風車くるくる回るかざぐるま  二健

〜二健

2006年07月10日
19:47
yaco

二健様、こんばんは。

梅雨の幕が、降りようとしています。
いつの間にか、二十一通目。
蜥蜴や井守を、籠いっぱい、捕まえて
猫様に、献上したいです。


>疫病神蚤も負せて流しけり  一茶
>疫病神天狗の背中流しけり  二健

>痒がるボロ猫を疫病神と見立てて、
>一茶の句を引き、パロディを詠んでみました。
>江戸俳諧への脇道遊山でした。

俳句の世界。
お恥ずかしながら、矢子は、全く無知です。
二健様の、迷宮のなかで、犇めいている
俳句独特の、拍子、語臭や、季節感。
ひとつの句に、完整された、ひとつの世界。
呼応する句、遊戯する句、連鎖する句。
大変面白く、感じられるように、なって参りました。
興味深く、お勉強させて頂いております。

お盆も近づく、熱帯夜。
雨上がりの、湿っぽさは、苔の匂いがします。
裏山から、淡い、霧のような気配が、矢子を呼んでいます。
誘われるままに、ふらり、出向きますと
薄暗い、竹薮のなか。
その傍らに、山百合が白く、浮かんでいます。
喇叭のように咲いた、山百合奏でる旋律は
懐かしい情景を、髣髴させます。

ぽつり、安置された、祖父のお墓。
墓石の裏側の、赤い名前が白くなったとき
祖父は、お線香の煙に乗って、何処か
旅へ、出掛けていきました。
幼い矢子の、遠い、記憶です。

矢子を乗せた、黒い車は、十字路に差し掛かりました。
運転手さんが、後部座席の、扉を開けながら
矢子に、山百合を一輪。差し出します。
「山百合は、あなたの、身分証明花です。
 これを持って、こちらの道を、お進みなさい。」
道の、遥か遠方には、紫色輝く、山脈がみえました。
こちらも、幼い矢子の、遠い、記憶です。

二健様のブログの、猫散歩。
矢子も、ゆっくり、ご一緒させて頂きました。
ちいさな舌の、覗いている、お写真。
眩しそうな、お目目と、柔らかい光。
とても、癒されます。
猫様の、胸の毛の、ふさふさ。矢子は
そこに住む、蚤になってみたい、と、思いました。

矢子


2006年07月11日
04:33
Jiken

矢子様、おはようございます。

梅雨が終われば蝉嵐の日々が待っていますね。
ありがたき矢子様の献上品、それと守宮もね。
子猫の恰好なじゃれ相手です。

矢子様が俳句に無知なんてとんでもございません。
単なる知識よりも、矢子様の想像に戯れる感性が
紡ぎ出す言の葉の織物の方が貴重です。
そして仕立てられた七色の衣に魅了されて、
わが天狗心は回春し、甦るのでございます。
わが書き付ける俳句に立ち止まるも行過ぎるも、
一向に構いません。評論じみたことはいりません。
一つの嘘星が点滅したと思って頂けたら幸いです。
矢子様は、もう既に俳句精神の何たるかが
お分かりですので、臆面もなく書き付けたのでございます。
天狗俳句は、そんじょそこいらの
思い上がりの俗物とは違います。
もっと卑俗に落ちてから、這い上がりたいと思います。
想像の天国におわす矢子様、冗談地獄に溺れる猫天狗。
天狗の武器の一つが俳句呪いです。
でも貪欲に矢子様の言の葉の術を盗みとう存じます。
尊大な天狗となって天国に行きとうございます。

矢子様の裏山に咲く山百合、小ぶりながら厳かな花。
天狗の鼻も百合の香りが大好き。厳つい顔が緩みます。
お恥ずかしながら又一句「一輪の百合の証明野辺送り」
矢子様の詞藻は豊壌です。そこに咲いた山百合でした。
記憶の道標として、可憐に咲いているのでありました。

ブログ天狗の、あの頁見られてしまいましたか。
思い立ったら吉日、在りし日の老猫ミータンと、
私をリードで結び、一緒に散歩を楽しみました。
ミータンとそうすることによって未知の世界を
体験できたと、ありがたく思っております。

今は矢子様との矢文交し、
未知の世界のランデブー。
そう勝手に思っております。

〜二健

2006年07月11日
19:13
yaco

二健様、こんばんは。

>未知の世界のランデブー。
今宵も、宜しくお願いいたします。

お空を覆った、もくもくとした雲が
どんどん、どんどん下降して、矢子の頭の上で
ぴたり。天神様の、操り人形のように、ぶら下がっています。
地球のお臍で生まれた、もわもわとした空気が
どんどん、どんどん上昇して、矢子の足の裏で
ぴたり。地神様の、熱気球のように、くっ付いています。
そんな、天と地の、挾間にできた、矢子の背丈丁度の
空間を、どんどん、どんどん歩きました。
一歩、また一歩、進みながら
矢子が、学生時代に訪れた、白日夢を
ふわり。記憶のなかから摘み出して、眺めてみました。

矢子の前に現れた、おおきなひとは
傘を八本。大切そうに、持っています。
「矢子にも、一本、下さいな。」
おおきなひとは、首を、横に振ります。
「一本目は、ママの。二本目は、パパの。
 三本目は、おじいちゃんの。四本目は、おばあちゃんの。
 五本目は、お兄ちゃんの。六本目は、お姉ちゃんの。
 七本目は、妹の。八本目は、弟の。これで、おしまい。」
「矢子のは、無いの。どうしてでしょう。」
おおきなひとは、八本の傘をまとめて、両手に握ると
矢子を、その傘の先で、地面に押し込みました。
ぐにゅり。矢子は、どんどん、どんどん大地のなかに
吸い込まれていきます。まるで、底無し沼のようです。
沈んでいくのでしょうか。浮いていくのでしょうか。
どちらが北で、どちらが東なのでしょう。
苦しいのでしょうか。心地よいのでしょうか。
暫くすると、遠い昔に覚えた感覚は、いまは、もう
必要の無いものに、なってしまったように
感じられます。眼を閉じて、だらり。
伸びきった、人魚のように、泳ぎながら
大地の流れに、この身を捧げよう、と、思いました。

きょうは、とても、苦しい、お天気でした。
お家に戻り、お水をごくごく、ごくごく頂きました。

「一輪の百合の証明野辺送り」

とても、素敵な、お句です。
大変、気に入りました。
夢から醒めた、幼い矢子は、何時の日か、あそこ迄
辿り着けばいいのだな、と、繰り返し、感じたものです。
その情景が、この十二文字のなかに、収まってしまう、とは。
天狗様の、お武器のひとつ。俳句呪いの罠に
早速、矢子は、落ちていきます。

矢子



2006年07月12日
10:40
Jiken

矢子様、おはようございます。

紫陽花の咲き継ぐ梅雨の最中に出会い、
七夕を通過して毎日矢文の交換ごっこ。
よく続くものですね、お互いに。
半分は私事ながらつくづく感心します。
まったく縁もゆかりもなかった矢子様との遭遇。
縁結びの生き神・ボロ猫様の粋なお取り計らい。
躑躅咲く頃のボロ猫様との出会い。
紫陽花が咲いて矢子様との出会い。
矢子様は、天狗が仕掛けたボロ猫と蚤の図案の踏み絵を、
本来のマリア様と何ら変わる処がないという
パラドックスを見事見破られました。
踏み絵のことは以前、「魔除け」とも例えて
申し上げたこともございます。
人の常は、それらを醜悪な生きものとして
忌避するのですが、矢子様にとっては、
いとしい存在でした。見てくれ悪く、か弱く、
けなげな生きものにも、夢のある眼差しを注がれました。
そして肩を並べて、いっしょになって遊んであげました。

>猫様の、胸の毛の、ふさふさ。矢子は
>そこに住む、蚤になってみたい、と、思いました。

7月10日付け貴簡の締め括りのお言葉です。
猫に取り付く蚤の生活に眉をひそめるのではなくて、
当然の景として寛容し、そのまま童話として昇華されます。
一見たわ言のようですけれど、月並みとは一線を画する
想いに満ちた矢子様の作り話です。

矢子様の見え易いお話は、天狗の小ぶりな脳では
漫画に置き換えて鑑賞させてもらってます。
俳句に置き換えてもみます。
そうするとよりいっそう、感覚が行き交います。
矢子様の夢幻を追いかけて、その残り香を身に纏い、
天狗はすこぶるパワーアップするのです。

傘のお話では、
当然あるべきものが無い、矢子様の分の傘が無い。
おおきなひとは、矢子様の不満顔を見たのでしょう。
おおきなひとは、わざとそうして意地悪をしたのです。
お仕置きという求愛行動に打って出ました。
でもその悲惨な状況にあることの負い目も苦しさも、
矢子様は我を忘れて無心の境地に流れ着きました。
人魚のこぼれ落ちた鱗が残照に輝いております。
お水をたくさん飲んで清めて下さいまし。
寝起きのコップ一杯の水飲みは、
水分不足に陥った筋肉組織を活性化するのだそうです。

拙句を気に入って頂き天狗呪いの冥利に尽きます。
十七音と言わずに十二文字と言われたことが新鮮でした。
俳優・俳諧・俳句の俳、俳とは人に非ずと書きます。
天国や宇宙におわす矢子様、
地獄か人里離れた山奥に棲む天狗。
これら全て俳の人、
人じゃなければ鬼か妖精でしょうか。

〜二健

2006年07月13日
07:59
yaco

二健様、おはようございます。

矢子は、不思議の国の、アリスの類です。
とても、単純です。
矢子のお話は、総て、絵巻物や、漫画の類です。
より、印象的なものは、おおきく、脇役は、ちいさく
二健様の、脳内の遠近法で、感じて頂ければ、幸いです。
二健様は、矢子のつくり話たちに、天狗魔法を掛け
的を射た、お句に甦らせ、漫画を描かれます。
矢子にとって、これほど嬉しいことは、ありません。

矢子も、二健様の、真似をして
「十七音の」小箱のなかに、お恥ずかしながら
青い、青い文字たちを、詰め込んでみました。

 天狗風お句と戯る逢魔時
 
 籠枕凡て宇宙の絵空事

矢子は、つづくことも、つづかないこと、も
宇宙の絡繰り、と、存じております。
許される限り、お便りを綴りたく、思います。

二健様との、お便りを通じて、感じることのひとつは
漢字という絵文字の、美しさと
そこから流れだす物語りの、深さです。

人に非ずもの。
真昼のかんな、闇夜の月見草。
お花たちと戯れながら、きょうは
そんなことを、すこし、考えます。

矢子


2006年07月13日
18:19
Jiken

矢子様。こんばんわ。

矢子様の綴られる詩文には、
独自の世界が開かれています。
時空を越えて語られるお話と、
その内容を盛る器の形も、
矢子様ならではのものなので、
他のお仕着せの器はいりません。

実は、俳句という寸足らずで手垢の付いた器を、
矢子様に差し出すことに戸惑っておりました。
天狗奴側では、呪いと云うはったりをかます言霊の
武器として、携帯即実用可能な俳句を重宝しております。
しかし、天のお花畑に在られる矢子様には、ゆったりと構えて
言の葉や花を沢山咲かせて頂きとうございます。

ても、天狗奴が時折ちらつかせた貴女範疇外の俳句にも困惑せず、
よくぞ優しい眼差しをもって応対して下さいました。
安堵と感謝の念にたえません。
俳句について想うことは、おいおい述べさせて頂きますが、
ここでの矢文文通の本流に身を委ねたいと思います。
天狗奴が矢子様の沐浴を盗み見て、
支離滅裂な妄想を膨らませたあげくのはて、
足を滑らせ潭に嵌まって、溺れかけていると、
異変に気付いた矢子様が近付いて来て、
白い手を差し伸べるという按配の妄想です。

最近は矢子様のお書きの物語を、
天狗奴が生意気にも評論しているようで面目ありません。
天狗奴も不思議の国のアリスみたいな矢子様を見習って、
素敵な夢を見て、お話の言葉を紡ぎたいと思います。
野狐禅な俳句はいけません。
俳句趣味の人にしか伝わりませんから。

とは言いつつ、矢子様やるじゃありませんか。
内心嬉しいです。近付いて頂けて。
二句も詠まれましたね。感動的な出来事です。
嘘星を毛嫌いすることなく、見て見ぬ振りをすることなく、
優しく両の掌に載せて下さいました。頬摺りして下さいました。
矢子様が天狗の尻尾を掴まれた経緯が、絵空事ではなかったと、
是如意得たりと鼻高々天狗の体です。

天には色々なお星様がおられます。
矢子女神様は、怪しくて馴染みない星にも愛を下さいました。
(愛なんて言葉、恥ずかしくて使いこなせませんが…)
天帝に代わって天狗が賛辞を贈ります。

  お互いに褒めあっている金魚かな  二健

てなことで、一人赤くなったりしています。
矢子様の胎児回帰や人魚へのご変身も又
ご先祖様との交流の景かと思います。
水中でも宇宙でも、交流の許される場がある限り、
交換した矢文を伸ばし、積み重ねて五重塔を建てましょう。
時には鶴や朝顔を折って供えましょう。

人に非ずもの。
それらは唯在るか、黙々と生きているか、
生きては死に、死んでは生きる、
繰り返しの絡繰の宇宙を見て取られている
矢子様の世界観、そのものなのであります。

〜二健

2006年07月14日
09:09
yaco

二健様、おはようございます。

矢子の生んだ、ちいさな俳句たち。
熟れていない、がりがりの、李。
青い、不味な、果物をお召しになって、おなかを
壊していらっしゃらなければ、いいのですが。
とても、心配です。
俳句のお味も、わからぬまま、天狗様の
崇高な、言霊の武器に、背伸びをして
触れてしまいました。
何時のときの、ことでしょうか。近い、昔。
天狗様のしっぽが、つるりと、お空に
引っ張られていったときの、ことが、脳裏を過ります。
矢子も、頬をすこし、染めております。
二健様を師と仰ぎ、懲りずに、もうひとつ。
お恥ずかしながら、練習をさせて、頂きます。

  文交す赤色金魚二匹かな  

迎え火の、煙のなかを、胡瓜馬に跨がった
おじいちゃんが、ぱかぱか、と、昨夜。
おばあちゃんのもとへ、戻ってきました。
おじいちゃんは、いま、何処で、何をして居るの、か
矢子は、問うたことはありません。でも
お家に、訪れるとき、おじいちゃんは、必ず
懐かしい、お面を被って、きてくれます。
そうでないと、おじいちゃんがきたことを、誰も
気付いてくれないからです。

おじいちゃんは、生前。
赤い、金魚草の咲く、草原へ、矢子を
連れていってくれたことが、ありました。

赤い金魚草の、咲き乱れる草原に、ひとりで
戯れるような、歳になりました。矢子は
人に非ずもの、について、耽けながら
沈んでいきます。

戯        空              無
   虚          嘘         
      殻             夢
                矛

  幻想の世界で、戯れることの、できるひと。
  空っぽの秘密を、知っているひと。

入道雲のかけらが、ひとひら、舞い降りて
矢子にそっと、教えてくれました。

矢子は、その、ひとかけらの、雲に乗って
すこし、遠くまで、旅してみようかな、と
思いました。金魚草たちに埋もれて、矢子は
うつらうつら、眠りにつきます。
猫様が現れて、矢子のあしくびに、耳を擦り付けます。
何時の日かの記憶が、つるつる、甦ります。

天狗様は、空中へ、ひゅるり、飛び立たれたのです。
矢子には、握力が、ございません。
手のなかの、しっぽは、するり、抜けました。

天狗様は、いま、何処にいらっしゃるのでしょうか。

矢子
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Bへつ続く
posted by 二健 at 12:36| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 交換日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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